あらかじめ注意です!!!
そうとう辛口です!!!
未見の方は読まないでください。

カンヌコンペティション部門に出品とニュースで大々的に紹介された映画です。
SNSでは絶賛の声が圧倒的。
ご当地群馬のシネマテーク高崎で上映開始され、妻が観るというので、まったく予備知識なしで観ました。
はっきり言って、私が今まで観た映画のワースト1でした。
以下、感想を述べます。

まずは、あらすじから。
自然豊かな町「ナギ」。この地でひとり創作に打ち込む彫刻家の寄子のもとに、弟の元妻で建築家の友梨が、休暇をとって東京から訪れる。義理の“元姉妹”である友梨をモデルに彫刻を制作する数日間。若くして妻を亡くした好浩、その息子の春樹と親友の圭太――。異なる場所で生きる寄子と友梨の再会は、穏やかだったナギの日常に小さな揺らぎをもたらしていく。
公式サイトより
どういうところがひどいのかというと・・・。
1まず絵がきたない!
まるでカメラ性能の悪い家庭用カメラでそのまま撮影したかのようなのっぺりした色味の薄い映像が続きます。
カラーグレーディングを施したとは思えない冴えない映像です。
2音がうるさい!
効果音・台詞のバランスが明らかにおかしい。静かなドラマなのに最初の方の自然音が大音量で雑音にしか聞こえない。台詞もつぶやいているのに妙に割れた大きい音で聞こえる。(劇場の音響のせいではないはずです。何度も観ていますがこんな経験は初めてでした)
3シナリオがひどい!
(1)キャラクターの人物設定がわからない。
それぞれの登場人物はどうやら今までいろいろな葛藤を抱えて生きてきたとしたかったのでしょうが、誰がどういう葛藤や生き方をしてきたのか、シーンからも台詞からも演技からもまったく伝わってこない。だから全てのシーンや台詞がかみ合わず感情の交流がまったく見えてこない。
(2)ちゃんと人と関わって生きている登場人物が1人も出てこない。
例を挙げると、主人公寄子は酪農や菜園をやりながら(これが主な収入源らしい)木彫作家として暮らしている。この寄子は東京での暮らしがいやになって故郷に戻ってきたと独白で説明があるが、家族の介護などの理由があるにしても、故郷で生きる上で周囲の人々とどんな関係性を持っているのかがまったく示されない。筋立てに必要ない町民はみごとにカットされていて、風景描写はあるのだが生活感が感じられない。
他の登場人物もナギという町で本当に生きて生活しているのかが感じられない。
誰もがまるでヒューマノイドのよう。
(3)台詞に感情が感じられない!
これはそのときそのときの言葉の選択が吟味されていないせいだと思う。どの台詞も人間の情感と切り離された即物的な単なる言葉だけのように聞こえる。
どういうわけか、感情が高ぶっているらしい場面でも、単に声高になるだけで、登場人物の生きた感情が伝わってこない。通常の場面ではわざと感情を抑えたような棒読みの台詞がだらだらと続く。
(4)台詞や演技がすべてやりっ放し。
どんなやりとりでも、登場人物の感情の変化やリアクションの変化があってしかるべきなのに、言われた側の人物がほとんど反応しない。
キャッチボールではなく、台詞も演技も投げっぱなし。
4監督(編集)の独りよがりのシーンが多い。
まず、何度も日めくりカレンダーをちぎって翌日になるカットが挿入されるますが、濃密な数日間のドラマになるのかとの期待はみごとに肩すかしにあい、この数日間をシャッフルしてもストーリーには影響がないくらい何も起こらないです。
妻が言うにはシネマテークの支配人が「何もない映画です」とラジオで宣伝?していたそうですが、笑っちゃうくらいほんとに何もない映画です。
事件がなくても、人と人が関わっていくことで、日々感情の起伏や思いがつのるはずなのに前に述べたように関わり自体を無視したシナリオなので、どこまでいっても何の変化もない。
不注意なシーンが一つありました。
最後の方で、少年二人の家出と嵐が重なって、親や主人公たちが少年を捜し回り、見つける場面。一人の少年の父親が家出資金を渡した寄子に詰め寄るシーンがありました。この時周りには、もう一人の少年とその父親、寄子と彫刻のモデルをつとめていたその親友がいたのですが、中途半端なフレーミングのせいで、寄子と詰め寄る父だけでなく他の人物も写っていました。すると画面左端にいた寄子の親友が台詞のやりとりの最中に振り返ってフレームから出て行ったのです。
これあり得ないでしょう。常識で考えても、怒った父親が寄子に激高して殴りかかることもありえるわけで、まるで部外者のように親友がすうっと消えるのは変です。
これは一例で、画面に登場する人が主人公たちとどんな関わりになるのか、まったく気にせずに人が出入りするので、いつも頭の中は???です。
まとめに
「ガメラ対ギャオス」という怪獣映画がありましたね。あれ今からすると手作りの特撮でチープな映画だと思います。
その中にこんなシーンが出てきます。
空を飛ぶ凶悪な怪獣ギャオスの対策に、政府や科学者、自衛隊の関係者が集まります。
誰かが科学者にこう質問をします。(うろ覚えです。間違っていたらご勘弁)
「ギャオスは鳥類でしょうか?は虫類でしょうか?」
「どちらでもないでしょう・・・。強いて言えば怪獣類です」
大人になってビデオで懐かしく観ていた私は爆笑しました。
それがエンタメ系でも芸術系でも、アクションでも、映画を作る側がイメージを共有して真剣に作った映画は、どこか光るものがあります。
このナギダイアリーほど、みごとに何もない映画を観た経験はありません。
あまりあきれてしまったので、アンチきわまる暴言は承知の上で書いてしまいました。実際に観て感動した方がいたら、反論のコメントをぜひお寄せください。
おまけ
映画ですから嘘があっても仕方ないですが、彫刻に関しての監修が行われていないと思います。
1寄子が塑像を作るときやたら棒で叩いていましたが、粘土を付け始めている段階では、中心からのバランスがゆがむので、あんなに強くは叩きません。
2粘土が固すぎます。塑像を作るときそれぞれの作家で粘土の固さには好みがありますが、寄子の手元を見ていると、そうとう固そうに見えます。女性であることを考えるともうすこし柔らかめの粘土を使用するはずです。
3絞った布が塑像に掛けてない。土の粘土は一晩で乾燥してしまいます。塑像を作るときは休憩時も夜も水で濡らして絞った布を掛けておきます。完成後も掛けておかないと1週間ほどでひび割れ一部が欠けることもあります。ちゃんと塑像を残すなら、完成後即座にシリコンか石膏で型どりして、石膏などの別素材にしておく必要があります。