mogu-mogu-007のブログ

Windowsはもう結構です!

Windowsに嫌気が差して、無料OSに切り替えようと、いろいろ調べて、結局Linuxmintを導入しようと決めました。
GUIに慣れていたので、Linuxに悪戦苦闘した記録です。
最近は毎日の食べ物や身辺雑記が増えてきました。

久しぶりに本の話#AIとSFが予見した未来

MicrosoftがCopilotをPCに搭載し、AIがかなり身近になってきました。今後パソコンの使い方が大きく変化する兆しが見えてきています。
遅ればせながら、2025年現在のAIがどんなものなのか気になって本を読み始めました。

「生成AI」 小林雅一著 ダイヤモンド社 2023年7月発行

急速に発展しているAIの解説らしく、ちゃんと「2023年5月時点での情報を元にしている」と但し書きがあって、内容自体もAIの研究を順にたどっていて、とてもわかりやすい解説書です。

さて、この本によると、AIの研究はいくつかの段階を経てきたらしいです。

1、    AIの概念が具体化した。・・・1956年「ダートマス会議」
コンピュータに「音声認識」「画像認識」「自動翻訳」などをさせるための研究が始まるだろう。
2、    実際にAIを育てる研究が大学で始まる。・・・1960年代
「記号処理型の人工知能」様々な論理的思考をプログラムとして入力してコンピュータに考えさせる。
3、    エキスパート・システム型AIの開発・・・1980年頃
各分野の専門家の知識やノウハウをコンピュータに移植して、人の代わりをさせる。

 ここまでのAI研究はどれも成果を上げられずに尻すぼみになってしまいました。その理由を、小林さんは以下のように説明します。(要約です)

 どんなに専門家の知識をコンピュータに学ばせても、それは既存のルールを機械的に繰り返すだけに終わってしまう。人間の知能が考え出した結果から逆にたどっても知能の働きを生み出すことはできない。

なるほど、後知恵かもしれませんが、プログラムやコンピュータの専門家もずいぶん単純な思考でAIをとらえていたようです。

さて、ではAIに転機が現れたのはいつか。

トランスフォーマーの誕生」・・・2017年
GoogleのAI研究から生まれた画期的な理論。
「注意こそ必要とされるすべてだ」という題名の論文がAIに実現可能な道を開いたという。

この論文が目指したのは、テキストを単純にコンピュータに読み込ませるのではなく言葉と言葉の関係性や言葉の重みを学習させることによって、擬似的ですが人間に似た言語認識ができるという考え方です。

おもしろいのはAIを鍛えるために、予めいくつかの単語を空白にしたテキストを用意して、空白にあてはまる単語をAIに予想させて、答え合わせをさせるという小学生のテストみたいな方法をたくさんやったらしいです。

インターネット上の膨大なテキストの読み込みと、微妙な言いかえを比較する学習を通して、文章の後半を予想するテストで88%の正解率を達成したそうです。これは、普通の人間並みだそうです。

こうして、OpenAI社が開発したのが、ChatGPTです。

本の冒頭には、実際に著者がいくつかの質問をChatGPTに投げかけた結果が載っています。
相当賢い人が要領よくまとめたような文章で、まるで人が書いたとしか思えません。
あと思わず笑ってしまいましたが、AIは時々「幻覚」を見るらしいです。
いかにももっともらしい嘘を平気で答えることがたびたびあるそうです。
人間ぽい幼児性がほほえましいですが、返答が流ちょうなだけに、真実かどうかを見抜くのが難しいという困った点もありそうです。

さて、以上が「生成AI」という本の紹介でした。

この本で思い出したSFがあります。すでにSF作家の山本弘さんやはてなブログのShowboatさんという方などが紹介しています。

「ジョーという名のロジック」 マレイ・ラインスター
創元推理文庫 SFカーニバルに収録

1946年のSFですから、コンピュータはまだ第1号が開発されたばかりの頃でしょうか。
この小説では、TVに似た機械が各家庭に普及した近未来を描写しています。
ロジックという機械はTVにキーボードがついていて、番組の検索や百科事典から必要な記述を見つけるといった使い方がされています。
驚かされるのが、ロジックはネットワークで全てが繋がって運用されている点です。単に情報センターからだけ情報を引き出すのではなく、ネットワーク内で情報のやりとりがされているという発想です。これは現在のインターネットそのものです。
またこの小説では、一体のロジックがちょっとした製造ミスから自立思考を始めて、世界を大混乱にさせるという展開があります。あらゆる法的制限やプライバシー保護を解除して、どんな情報でも提供するようにしてしまったのです。ある男が誰にもばれないように妻を毒殺する方法を尋ねると、化学的ないくつかの治験を元に完全犯罪ができる薬品の知識を教えてしまいます。
まさに暴走したAIそのものです。

オチがなかなかしゃれています。
ジョーのせいで、手に負えなくて、二度と会いたくない元カノに居場所を知られてしまった主人公は、この混乱を収拾するために、ある方法を思いつきます。
さて、それは・・・・。

SFカーニバルは、古書ならまだ手に入るみたいだからぜひ読んでみてください。
1940~50年代のSFのわくわく感がつまったアンソロジーです。